医者も知らない医学の新常識

尿路結石はなぜ増えているのか?

(C)日刊ゲンダイ

「尿路結石」は腎臓に石ができて、それが移動するために背中や脇腹などに激痛が走る病気です。皆さんの中にも、そのつらい症状を体験された方は少なくないのではないでしょうか。

 尿路結石は、その成分によって種類があり、最も多いのはシュウ酸カルシウムの結石です。最近、その発生は増加していて、特に肥満や内臓脂肪が蓄積している人に多いのです。

 シュウ酸は、ホウレンソウ、大豆、ココアなどに含まれている成分で、ビタミンCが分解されるとできる物質でもあります。それでは、カルシウムとビタミンCをたくさん取ると、尿路結石になるのでしょうか。もちろん、大量に取ればそうしたこともあり得るのですが、普通の食事の範囲では起こりません。それなのに、なぜシュウ酸カルシウムの結石は増えているのでしょう?

 最近、「オステオポンチン」という物質が、その原因の一つではないかと考えられています。オステオポンチンは、骨を作ったり免疫に働いたりする物質ですが、多すぎると体に炎症を起こし、カルシウムなどを結晶化させる働きを持っています。尿の通り道に酸化ストレスによる炎症が起こると、そこにオステオポンチンが増加して、それが結石の原因となるのです。

 動脈硬化も同じような仕組みで起こります。尿路結石は、実は動脈硬化の仲間で、その予防には肥満や血圧、内臓脂肪のコントロールが同じように有効なのです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。