ところが実際は、「経口摂取が可能」であるのに「不可能」と診断されている人が多い。大きく分けて2つの問題点が関係している。
■ハードルが高すぎる診断法
経口摂取が可能かどうかを診断する際、一般的に行われるのが、内視鏡を喉に挿入して嚥下機能を見る「嚥下内視鏡検査」や、検査用食品を飲み込みレントゲンで嚥下機能を見る「嚥下造影検査」だ。
小山氏は、「受けたことがありますが、呼吸もできず、痛くてつらい検査でした。健康な人でもうまく飲み込めない。脳障害があったり認知症の人には非常にハードルが高い」と話す。
たとえるなら、「歩く機能が衰えた人に、いきなり100メートル走をさせ、タイムが○秒以下なら『自力歩行は不可能』と診断するようなもの」だという。食べる力が落ちたなら、しかるべき練習が必要。寝たきりで意識が朦朧とした段階で検査のみが優先される場合も少なくない。