「食べる力」は取り戻せる “不可能”診断に2つの問題点

“食”は楽しむもの(C)共同通信社

■誤った食事介助

 小山氏は全国各地で食事介助のセミナーを行っているが、「医療・福祉関係者も含めて、95%が誤った食事介助をしている」との実感があると話す。

 たとえば「姿勢」だ。食事介助を受ける人が、あごを上げたり横を向いたりする姿勢では、誤嚥が起こりやすい。「食べ物が目で見えること」も重要。視覚を遮るようにしてスプーンを口元に運べば、介助を受ける人は口を開けるタイミングをつかめず、誤嚥しやすくなる。

「食物を口のどこに接地するか」にもコツがある。舌運動や口唇閉鎖をうまく誘導し、飲み込みを助ける位置に置くことがポイントだ。口腔内衛生を整えることも欠かせない。

 ここに挙げたのはほんの一例。「正しい食事介助法」を知らないばかりに、誤嚥を引き起こしたり、「本人が食べたがらない」という結果を招く。食事介助をする側に問題があるのに、「介助される側に問題あり=経口摂取不可能」とされがちなのだ。

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