動脈硬化に勝つ

狭窄率だけでは危険を測れない 大半が前触れなしに発症

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 すると、血液中の悪玉コレステロール(LDL―C)が酸化ストレスにより酸化LDL―Cに変化し、障害された血管内皮の下に入り込む。その酸化LDL―Cなどの異物を処理するために白血球の一種であるマクロファージが内膜に入り、これらを貪食して死ぬと、泡沫細胞となって脂質などと共に蓄積して内膜の下にコブのようにたまる。この状態をプラーク(粥状動脈硬化)と呼び、血流が減少したり、プラークの皮膜が破れて血栓ができ、完全閉塞を起こして心筋梗塞や心筋梗塞が起こる。

 何らかの前触れを知るのは困難だ。

「心筋梗塞、心臓突然死を起こした人の大半が、何の前触れもなくです」

 プラークが大きくなると、それだけ血管は狭くなる。一方、心臓の動脈は、狭窄率が50%でも症状はない。75%以上の狭窄で、ようやく「胸が痛い」「圧迫される」という症状が出てくる。

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伊東春樹

伊東春樹

日本循環器学会専門医、日本心臓病学会(上級臨床医、FJCC)。「けやき坂医科歯科クリニック」非常勤。