■緊急手術は想定外の状況に出くわす可能性が高くなる
緊急手術というのは、術前に精密な検査を行えないまま手術を行うので、実際に手術をしている最中に「おや? こんな状態だったのか……」というケースに出くわす可能性が高くなります。「こんなところまで石灰化が進んでいるのか」とか「こんなところに血管があったのか」といったような想定外の状況に遭遇するのです。もちろん、その都度、対処しながら手術を進めなければなりません。
そのうえ、患者さんが高齢者となると、さらにリスクは跳ね上がります。高齢者は心臓以外にも腎臓などの重要臓器や全身状態が弱っているケースが多く、そのうえ緊急手術となると死亡率は予定手術の10倍ほどアップしてしまいます。そのため、どうやって手術を行うか迷ったり、予想外の状況に出くわしたときにどう対処して乗り切るかなど、外科医の経験や判断力がより重要になってくるのです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」