熱中症と勘違い 猛暑で増える肺血栓塞栓症に突然死リスク

こまめな水分補給を忘れずに(C)日刊ゲンダイ

■普通に歩けていた人が急に心肺停止

 大谷院長が実際に診たケースはこうだった。50代の男性は、以前から喘息で同クリニックにかかっていた。猛暑のある日、「熱中症かもしれないですが……」と来院した。

 大谷院長はさまざまな検査に加え、心不全のマーカーとなる物質の値を測定。すると、やや高めだった。肺血栓塞栓症か判断に迷う値だったが、念のため、応急処置もできる近くの東京医科歯科大学病院に連絡を取り、向かってもらった。

「十数分で到着したのですが、それまでは体調は悪いものの自分で歩き話せていた患者さんが、東京医科歯科大の呼吸器内科の待合室で心停止に至りました。幸いなことに病院の中だったので命は助かりましたが、数分遅れていたら、難しかったかもしれません」

 血液が固まりやすい体質など、肺血栓塞栓症のリスク因子を調べたが、問題なし。ただ、仕事が忙しく睡眠不足が続いていたうえ、水分補給をほとんどしていなかった。それによる脱水症状が大いに関係していると、主治医も大谷院長もみている。

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