クスリと正しく付き合う

なんとなく…は“やめ時” 本当にいま必要な薬かを見極める

鎮痛薬などは患者の効果実感が見極めに
鎮痛薬などは患者の効果実感が見極めに(C)日刊ゲンダイ

 薬を正しく使うには、「漫然と飲み続けない」ことが大切です。たとえば、内容がよく分からないまま一包化されている薬を服用していたり、痛くはないけど痛み止めを飲み続けたり、調子が良くなったけどなんとなく胃薬を飲んでいたり……。そんな経験がある人は少なくないのではないでしょうか。

 そういった時こそ薬のやめ時といえます。もちろん、勝手にやめてよい薬ばかりではありません。しかし、自分自身の薬のやめ時を知っておくことは、健康にとっても、経済面においてもムダをチェックできるようになることにつながると思います。

 医師や薬剤師が考える薬のやめ時、やめるべき薬は、①利益(効果)のない薬②治療効果より有害事象(副作用など)が大きい薬③すでに治療上必要なくなった薬(症状が治まった)④ライフプランを考慮して必要以上の効果が望めない薬――になります。

 ただ、医療者がこれらの判断に困る場合もあります。検査や検査値で効果が分からない薬(鎮痛薬、制吐薬=吐き気止め、睡眠薬など)は、患者さんの効果実感によって医療者が必要性を判断するため、患者さんが効果実感を正しく医療者に伝える必要があるのです。それが不十分な場合、医療者が薬の継続・中止の判断を誤ってしまう可能性もあります。

 とりわけ、慢性的に使用している薬は「やめてみて初めて効果が実感できる」ケースが多いと思います。そういった薬はきちんと医師に相談したうえで、「一度やめてみる」というのが最良の選択でしょう。

 症状が落ち着いている場合は、「すでに治療上必要なくなった薬(症状が治まった)」か否かを見極める必要があります。こちらも、医師や薬剤師に相談して、一度やめてみるのもいいでしょう。やはり、まだ服用を続けた方がよさそうなら、必要に応じて再開すればいいのです。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。