独白 愉快な“病人”たち

漫画家・東海林さだお氏 肝細胞がんと闘い辿り着いた境地

手術では“レバ刺し1人前程度”を切除、転移はなかった/(C)日刊ゲンダイ

 退院後は、10日後、20日後、1カ月後、3カ月後と、段階的に分かりやすく体力も戻り、当初は3カ月に1度、CTや血液検査を受けました。現在は半年に1度の検査を続けています。これが1年に1度程度の検査になれば、ずいぶん安心です。

 病気をして、この年になってやっと「節制」を覚えました。糖分を取り過ぎない、冷たいものより温かいもの、ビールはノンアルコールに。いろいろ試してドイツのヴェリタスブロイが気に入っています。毎日8時間寝て、夜更かしもしない。おかげさまでゴルフぐらいは出来るようになりました。

 がんのような生死に関わるイメージの病気をすると、「なぜ、よりによって私が……」と不条理に感じたりもしますが、人生、なるようにしかならない。諦観の境地に至ります。それに、ほかの人の闘病記を読むと、想像以上に苦しい現状で頑張っている人もいる。ぼくなんて、まだまだ。本当に偉いなぁと励まされました。

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