当事者たちが明かす「医療のウラ側」

同じビタミンでも食品に含まれるものとサプリでは違う

アーモンド
アーモンド(C)日刊ゲンダイ
都内の50代開業医

 患者さんから「サプリメントは取っていいですか?」という質問をよく受けます。私は賛成も反対もしません。たとえ、サプリメントにプラスの効果がなくても、患者さんが「これは効く」と思い込めばプラセボ効果を得ることができるからです。

 ただ、私自身がビタミンをサプリで取るのか、と問われれば「NO」です。同じビタミンでも天然と工場で合成されたビタミンでは似て非なるものだからです。

 例えばビタミンEがそうです。これは科学名で「トコフェロール」と呼ばれる脂溶性ビタミンで植物油や大豆、アーモンドなどのナッツ、葉物野菜などに多く含まれます。細胞が酸化されるのを防ぐ「抗酸化作用」や「抗不妊作用」のほかに血行促進やがん予防に有効といわれています。

 しかし、トコフェロールは8種類あって、その働きは微妙に違います。サプリメントでよく使われるα―トコフェロールを大量に摂取すると天然の食物に含まれるγ―トコフェロールのレベルを下げることが知られています。カプセル入りのビタミンEは天然ビタミンEの型の作用を弱めてしまうというわけです。

 ビタミンCにしても、まるでもぎたての柑橘類から抽出したかのようなイメージがありますが、そうではありません。サプリメントでビタミンCを取れば、それだけの意味しかありません。しかし、ビタミンCを取るためにミカンを食べたとしたら、ビタミンC以外に繊維や水分、糖分、カルシウム、コリン、チアミンなどさまざまな植物性物質を取ることになります。ビタミンC単体を取ることと天然の食物に含まれるビタミンCを取ることとは大きく違うのです。

 栄養素はもっとも自然な形で体の中に入れること。それこそが体のために良いことだと思うのです。