夏に負けない

蚊による感染症を防ぐ 3年前にはデング熱の国内感染者

代々木公園で蚊を採取する仕掛けを取り付ける都職員
代々木公園で蚊を採取する仕掛けを取り付ける都職員(C)日刊ゲンダイ

 酷暑で心配なのは熱中症だけじゃない。蚊による感染症にも注意が必要だ。

 日本では「日本脳炎」が有名だが、最近は「デング熱」「ジカウイルス感染症」といった新たな感染症が話題になっている。

 デング熱はデングウイルスを持つネッタイシマカ、ヒトスジシマカに刺されることで発症する。熱帯・亜熱帯を中心に100カ国以上で報告され、年間1億人以上の患者が出ているともいわれる。日本でも3年前に約70年ぶりの国内感染者が報告され、その後160人の患者が出て大騒ぎになったので覚えている人も多いだろう。

 2~15日の潜伏期間を経て、38~40度の高熱が続き、頭痛、眼窩痛、関節痛、発疹などが表れ、1週間ほどで回復する。まれに重症化することがある。

 ジカウイルス感染症はフロリダ州など米国の一部地域やカリブ海領域、アジア、南太平洋などで流行。日本でも症例が確認されているが、いずれも渡航歴がある人がかかる輸入感染症例だ。

 デング熱同様、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカに刺されることで発症する。輸血やセックスにより、人から人へ感染することもある。潜伏期間・症状はデング熱に似ているが、ジカウイルス感染は急性の末梢神経障害で運動マヒを起こすギラン・バレー症候群を招くことがある。また、妊娠中に感染すると子供が小頭症などの先天性障害を起こす可能性がある。

 ちなみに日本脳炎は発症時の致死率は20~40%と高く、乳幼児や高齢者では後遺症が残ることが知られているが、感染しても発症するのは100~1000人に1人程度。日本での患者数は予防接種により激減している。

 これらの感染症を起こす蚊は日本でも広く生息している。日本では1960年代に撲滅されたマラリアも、その可能性は低いとはいえ再燃なしともいえない。

 そのため一番の予防法は蚊のいそうな草むらや水田などに近づかないことだが、蚊はどんな人を好むのかを知っておくことも大切だ。次回は蚊に刺されやすい人の特徴を紹介する。