過去の研究論文によれば、離婚や、配偶者を亡くすなどによる家族構成の変化は、健康にさまざまな影響を与えることが報告されています。しかしながら、親と同居を始めるなど、家族の人数が増えるような変化と健康への影響についてはあまり知られていないようです。
そんな中、家族構成の変化と、脳卒中発症リスクの関連を検討した論文がプロス ワンという科学・医学分野の専門誌に2017年4月13日付で掲載されました。
この研究では、45~74歳の日本人男女、7万7001人を対象に、家族の増加あるいは喪失についてアンケート調査を行い、家族構成の変化があった人と、変化がない人を比較して、脳卒中の発症頻度を比較しています。
なお、年齢、職業、高血圧症の有無など、結果に影響を与えるような因子で補正して解析しています。
中央値で13・6年追跡調査した結果、家族構成が変化しなかった人と比べて、少なくとも1人の家族を失うことは、脳卒中の発症リスクが男性で15%、女性で11%増加しました。こうしたリスクの増加は、特に男性における配偶者喪失で認められました。
家族構成の増加については、男性では脳卒中発症リスクの増加は示されませんでした。しかし、女性では、親を迎えた場合、脳卒中が49%増加することが示されました。
男性においては配偶者の喪失が、女性においては親を家族に迎えた場合に脳卒中の発症リスクが増加するという結果になっています。その原因としては、配偶者を失うことによる生活環境や精神状態の変化が挙げられるでしょう。また家族の増加は、経済的な負担や介助の負担増加などにつながり、こうした状況が脳卒中発症との関連性に影響を与えているのかもしれません。
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