東京オリンピックの後のニッポン

「2025年」が分岐点に 英国並みにがん治療が制限される

気軽に受診できなくなる

 では、皆保険制度はどうなるのか。

「昨年の診療報酬改定で導入された一部の高額薬剤に対する公定価格の費用対効果評価が、近未来を占うヒントです」と言うのは、医師で作家の米山公啓氏だ。

 そのひとつが、年間の薬代が3500万円と超高額ぶりが話題になった、がん免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボだ。

「日本には、高額療養費制度があるので、仮に現役世代並みの所得がある70歳以上の人が1カ月に300万円の医療費を使っても、実際の自己負担額はわずか10万円ほど。それを毎月繰り返すと、4カ月目からは4万円台に減額されます。日本より先に高額薬剤問題がクローズアップされた英国では、高額薬剤が公的治療から外れました。費用対効果の対象が広がれば、日本でもがんに限らず、心臓病や脳卒中などの最新治療は自費になる可能性があります」

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