東京オリンピックの後のニッポン

「2025年」が分岐点に 英国並みにがん治療が制限される

気軽に受診できなくなる

 1999年に「国立医療技術評価機構(NICE)」を設立して費用対効果の算定を始めた英国では、高額の抗がん剤や認知症の薬が公的治療の対象から外れた。

 ところが、患者や家族の反発で、英政府は11年に日本円で310億円分の基金を設立。要望が強かったがん治療薬についてカバーしたが、財源は火の車状態に。さらなる見直しを迫られている。

 日本の高齢化のスピードは英国より深刻なだけに、もっと大変だ。

「まだ議論されていませんが、高齢者にとってサロン化した病院をどうするか。そこにメスを入れるかどうかで、状況は変わってきます。明らかに問題のないような風邪でも気軽に受診できたり、ちょっと『頭が痛い』と訴えれば簡単に薬が処方されたりする現状の見直しです。それが実現されると、今のようにいつでも受診できるのは、お金持ちだけになりかねません」

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