気鋭の医師 注目の医療

半年以内に9割を鑑別 イタリアの名探偵コナンと呼ばれる男

聖マリアンナ医科大学東横病院失神センターの古川俊行センター長(提供写真)

「診断がつかないケースが10%ありますが、いずれも頻度が少なくリスクの低い失神です。危険性が少ないことを丁寧に説明することで、ほとんどの患者さんは不安から解放されます」

 古川センター長が失神診療に精通するのは、イタリアの病院に留学経験があるからだ。欧州の一部の国の医療機関には、失神を専門とする医師が在籍する「失神専門診療ユニット(SU)」が存在し、失神診療の標準化が進められている。そのSUを最初につくったブリニューレ医師のもとでじかに学んでいる。

「欧州と日本では失神に対する考え方が違います。日本では意識を失ったら頭部CTを撮るのが一般的ですが、欧州では撮りません。一時的な意識消失ですぐ回復する失神では、脳卒中の可能性が低いからです。また、詳しく診断できる『植え込み型心臓モニター』を欧州では早い段階で使います。日本では保険適用になっていますが、まだ普及していません」

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