医者も知らない医学の新常識

夏場でも塩分の取り過ぎは危険!

体にとって必要なものだが実は危険なものでもある(C)日刊ゲンダイ

 7月中旬、岩手県の預かり保育の施設で、職員が乳児に食塩を混ぜた液体を飲ませ、食塩中毒で死亡させたという報道がありました。「そんなことが実際にあるのか」と驚かれた方も多いと思います。

 塩分は体にとって必要なものですが、実は危険なものでもあります。大量の食塩が一気に体に入ると、血液のナトリウム濃度が上昇します。それが高度に上昇すると、体の細胞は塩をかけられたナメクジのように縮んでしまい、脳の血管が破れて脳内出血やくも膜下出血を起こすのです。

 それでは、どのくらいの塩分を一気に取ると、そうした中毒を起こすのでしょうか? 一般的には子供で10グラム、大人で25グラムを超える塩分は、中毒の可能性があると考えられています。

 一升ビンの醤油を飲んで自殺を図るという話が、昔はよくありました。そこには200グラムを超える食塩が含まれていますから、治療をしなければ確実に死んでしまうのです。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。