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米の大学が開発 自分で貼れるインフル予防パッチの注目度

 アメリカでは、年間1万2000人がインフルエンザで亡くなっているといわれます。しかし、インフルエンザの予防接種を受ける成人は4割に過ぎません。

 そこで、もっと手軽に予防接種を受けられるようにと開発されたのが、「マイクロニードル」による予防接種です。

 それは、バンドエイドのようなものに微小な針=マイクロニードルが100個敷き詰められた“予防パッチ”。腕の手首に近い部分に貼ると、20分間で針に含まれたワクチンが肌に浸透する仕組みです。

 ジョージア工科大学で開発が進められ、このほど臨床実験が行われました。100人の被験者は、パッチで予防接種を受けるグループと、注射のグループに分けられ、28日後にその効果を比較。すると、パッチのグループの抗体レベルは、注射のグループとまったく変わりませんでした。

 パッチを貼ったグループは、医療従事者が貼った人たちと、一般のボランティアが貼った人がいましたが、効果に違いはなかったとのことです。

 貼った部分の肌が荒れるなどの副作用はあったものの、今後は実用に向けてもっと多くの被験者で臨床実験を繰り返し、改善していきたいと研究者は話しています。

 インフルエンザのパッチが実用化されれば、注射嫌いの人がもっと気軽に予防接種を受けられます。さらに、注射よりずっと安く、運搬が簡単で、冷蔵の必要がなく、使用後の針の始末も必要ないというメリットもあります。

 何より注目なのは、「医療従事者以外でもOK」=「自分でも貼れる」という利点です。発展途上国での予防接種の普及の大きな一歩になると、関係者は期待を膨らませています。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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