独白 愉快な“病人”たち

がん手術を通算8回 黒沢年雄は「もうお葬式も済ませた」

手術の経験は「全部いい思い出」/(C)日刊ゲンダイ

 がんの当たり年だった3年前を境に、死ぬことも怖くなくなりました。思えば、若い頃は無我夢中でウエーターから保険のセールス、トラック運転手……いろんな職業を経験しました。そんな実体験の引き出しをたくさん持っていたから、演技勉強ゼロの僕が、役者でやってこられたと思っています。その代わり、役者になってからは夜更かしも酒量も半端ではありませんでしたから、がんになっても不思議じゃないなとも思います。

 結果として、僕は若い頃の夢を全部手に入れてしまったから、今はもう欲がありません。あえて言うなら、今ある仕事を大事にしたい。それだけです。莫大な借金もとっくに完済しましたからね。

 それに何より、もうお葬式も済ませているんです。昨年、比叡山の阿弥陀堂で「生前逆修永代供養」というのをやりました。人に迷惑を掛けるのが嫌いだから……。死んでも通夜も葬式もしないし、偲ぶ会なんてやったら化けて出てやりますよ(笑い)。

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