いまさら聞けない歯科インプラント

本当に怖いのか?<2> 気がついたら終わっていたは本当か

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 歯科インプラント(以下インプラント)の外科手術では3種類の局所麻酔を使い分ける。

 術部を麻酔するために歯肉に注射する「浸潤麻酔」、注射針の痛みを感じなくさせるために歯肉に麻酔薬を塗る「表面麻酔」、注射で麻酔薬を入れるときの痛みを取るための「粘膜下麻酔」だ。歯科医向けのインプラントセミナー講師も務める自由診療歯科医師で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長に聞いた。

「患者さんの痛みを軽くするため、歯科医師が使う麻酔の注射針は世界で2番目に細い33ゲージ(口径0.2ミリ)が多い。それだけ痛みは少ないはずです。時間をかけて麻酔すれば痛みなく麻酔ができます」

 ちなみに麻酔の効果は2~3時間程度。治療は「気がついたら終わっていた」というケースが多い。麻酔が切れた後に痛みを感じる人はまれにいるものの、処方された痛み止めで痛みを沈静化できるという。

 腫れはどうか? 個人差もあるが、一般的なインプラント治療では外科手術後に腫れることも少なくない。その多くはインプラント埋入の際、人工骨を使用するからだ。

「歯槽骨がやせてインプラントの埋入が困難と判断すると、患者さんの体から移植用の骨を取り出して補填する方法があります。この場合、手術部位が2カ所になります。人工骨の骨補填剤が使われることもあります。ただ、体内に異物が入れば、免疫組織が反応するのは当然。ですから、自身で骨を再生させて、人工骨を使わない方法も開発されています」

 インプラント治療の費用は、通常の保険診療と違って、歯科医師が自由に設定していいことになっている。そのため、初期費用こそ格安であるものの、後で細かく追加料金を請求され、総額では高くなるケースもある。

「よくあるのは1本○万円とうたっておいて、治療法の違いや、インプラントの上に載せる人工歯、治療期間中に使う仮歯、治療後のケア代などを次々と請求するケースです。それを避けるには治療費の総額の見積書を治療前に提示してもらうことです」

 ちなみに、インプラントは「インプラント体」(人工歯根=歯槽骨に埋入する主にチタンで作られたねじのような部分)、「支台」(アバットメント=インプラント体と人工歯冠をつなぐ部品)、「上部構造」(人工歯冠=歯冠部分)の3つからなる。

 治療は、問診・口腔内検査、治療計画・治療費の説明が行われ、患者の同意が得られれば、後日インプラント体の埋入を行う。インプラント体が顎の骨に密着したことを確認した数カ月後に支台を装着、上部構造をつけて完了。その後は数カ月に1度のペースで定期検査を行う。この間、通院は5~8回程度が一般的だという。