血液検査でがんを早期発見――。そんなキャッチコピーを目にすることがありますが、検診レベルで実用化できるほど高精度のものはありませんでした。ところが、国立がん研究センターが行う膵臓がんについての臨床研究は大きな期待を持てます。
今回の注目は、「apoA2」と呼ばれるタンパク質です。研究グループは膵臓がんや膵炎の患者、健康な人から提供を受けた約900の血液検体を調査。このタンパク質は、早期の膵臓がんで量が低下することを発見しています。
米国立がん研究所(NCI)も同様の研究を行っていて、「apoA2は、膵臓がんを見つけるマーカー(尺度)として信頼性が高い」と評価。そのNCIとの検証では、ステージ1や2の人は、健康な人に比べてapoA2の量が半減するといいます。これらの研究から、がん研究センターは大規模臨床研究に踏み切ったのです。2019年3月までに最大1万人の被験者を募り、その有効性をより詳しく調べるといいます。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁