防衛大生が死亡 夏合宿でも感染する髄膜炎菌感染症の恐怖

若者は要注意(写真はイメージ)
若者は要注意(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 防衛大学校(神奈川県横須賀市)の学生寮で10代の学生が髄膜炎で死亡したニュースにゾッとさせられた人も少なくないだろう。学生は「侵襲性髄膜炎菌感染症」と診断され、入院から6日目の7月25日に亡くなった。

 髄膜炎の特徴は20歳未満の若年層が学生寮などの共同生活で感染するリスクが高いこと。今の時季は寮生でなくても危険だ。小児科医で作家の左門新氏が言う。

「夏合宿などで感染する可能性があるからです。髄膜炎はウイルスや細菌を通して感染します。もともと喉や鼻の粘膜に髄膜炎を持っている人がいて、本人はあまり発症しませんが、会話のときなどに唾液で他人にうつることがあるのです。うつされた人は寝不足や栄養不足などの体調不良のときに発症すると思われます。細菌を持つ人と1メートル以内の距離で8時間以上一緒にいると感染の確率が高まります。発症した場合の死亡率が20~50%の恐ろしい病気です」

 最初は発熱などの風邪に似た症状が出て、その後、頭痛、吐き気、けいれん、意識障害が起きる。問題は髄膜炎を診察した経験のある医者が少なく、風邪と誤診しがちなこと。

「怖いことに、この病気は1、2日で一気に悪化し、手遅れになるのです。学生寮で生活している人や合宿に参加した人は“風邪っぽい”と思ったら医師の診察を受け、その際、集団生活をしていることを説明したほうがいい。米国では11歳と16歳のときに予防接種が義務付けられていますが、日本では任意なので受けない人も多い。本来は日本人も2歳時と中学時代に接種を受けるのが無難です。集団生活をする人は予防のために注射を受けることをお勧めします」(左門新氏)

 我が子が部活やサークルの合宿に行くときは事前に注意しておきたい。

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