いまさら聞けない歯科インプラント

値段の差は何の差?<2> 実績や肩書きは信頼できるのか

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 よく、「累計×万本、年間○千本以上の実績」「○○学会指導医」などとうたい、インプラント手術の実績や専門性を誇る歯科医院もあるが、それは値段につながるのか? 歯科医向けのインプラントセミナーの講師も務める自由診療歯科医師で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長に聞いた。

「インプラント手術は外科手術ですから、本数をこなせばうまくなります。だからといって手術が安全で技術料が高いことにつながるものではありません」

 そもそも、年間○千本以上などの実績はあくまでもそれを誇る歯科医院内の複数の勤務医による合算した自己申告のものがほとんど。どの歯科医師が何本手掛けたかは分からない。参考程度と考えた方がよさそうだ。

「若くて経験がなくてもよく勉強していて、丁寧にインプラント手術される先生もおられます。実績がすべてと考えるのは間違いでしょう」

 同様に、「指導医」「専門医」「認定医」などという肩書も参考程度に考えた方がいいという。

「こうした肩書はあくまでも全国各地に数多く存在する任意団体が発行するものです。その発行基準はその団体によってバラバラです。中にはそれほどの実績がなくてもこれらの肩書を出す団体もあります」

 では、分院が全国に展開している歯科医院はどうだろう? 多くのインプラント治療専門医とスタッフがいるうえ、材料費も一括購入できるから安くあがりそうだ。

「考え方にもよりますが、私は激安インプラントを手掛け、分院を全国展開している歯科医院では勤務医の出入りが激しいため、長期にわたるインプラントの治療とケアが十分できるのか、疑問に思っています。もちろん、立派な歯科医院グループもあるでしょうが、分院間の治療レベルや勤務医の実力もバラバラで、院長の意向が十分反映されていないところもあるのではないでしょうか」

 では、費用の高い、安いは何をもって考えればいいのか?

「大事なことは、相談、診察、治療計画からアフターケアまで一人の歯科医師が責任を持ってやってくれるかどうかです。そして、その歯科医師はインプラント以外の一般歯科治療も手掛けていることが重要です」

 インプラント治療は、「抜かずに治療するか」「抜歯してインプラントにするか」の見極めと、「治療前の口腔内の状態を正しく診断して、インプラント治療できる状態にまで引き上げていくこと」が重要だという。

「歯科医師が自由に値段をつけられるインプラント治療の値段は、その歯科医師が患者に対してどこまで面倒を見てくれるのか、その信頼度に比例していくべきと考えています。激安のインプラントを手掛ける歯科医院の中には、インプラント治療だけしかしない、その一部しかやらない歯科医師が存在します。ひつぎの中までもっていくインプラントだけに、よく考える必要があります」