「非常に難しい手術です。スペシャリストが行っても、10人に1人は神経障害が起こり、術後の合併症も多い。指を伸ばせるようになるまで、特殊な機器を使った痛みを伴う処置が必要でした。そこまでやっても、5年後には4人に1人が再発するのです」
ところが2015年9月以降、注射1本で症状が改善される治療が登場した。薬剤がしこりを溶かし、24時間後には指を伸ばしたり縮めたりといった処置が行われる。
「手術と比べると、低侵襲で患者さんへの負担がとても軽減された。すべての人に行えるわけではないが、画期的な治療法なのは確かです」
国内の治験では、有効率は85・7%。98%に副作用がみられるが、軽度~中等度で、注射後すぐに表れるため大事には至っていない。
「再発リスクはありますが、低侵襲なので繰り返し行える。また、万が一手術が必要になっても、注射が手術を邪魔しません」
現在、手外科専門医で専門の講習を受けた医師のみ施術可能だ。