受診までの「応急処置」

「プール熱」には消炎鎮痛剤や漢方を使う 水分も定期的に

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「プール熱(咽頭結膜熱)」が過去10年で最大レベルの流行となっている。プールから帰ってきた子供に、夜になって高熱や喉の痛みが出たら、どう対応したらいいのか。「池袋大谷クリニック」(東京)の大谷義夫院長が言う。

「咽頭結膜熱の病原体はアデノウイルスで、症状は39度前後の高熱、咽頭痛(喉の痛み)、結膜炎(目の充血)が3~5日続きます。かつては汚染されたプールの水からの感染が多かったので“プール熱”と呼ばれますが、きちんと消毒管理がされていればプールでの感染は少ないと思います。主に、せきやくしゃみからの飛沫(ひまつ)感染、手指を介した接触感染でうつります。発症までの潜伏期間は5~7日です」

 感染経路はともかく、流行のピークは夏季。症状からプール熱を疑ったら、家族へ感染を拡大させないためにタオルや洗面器、食器などの共有をしないことが大切という。では、市販薬はどんなものを使えばいいのか。

「結局、受診してもアデノウイルスに対する特効薬はありません。治療は対症療法が中心で、症状が治まるまで待つしかありません。ですから、市販薬では発熱や喉の痛みに対して消炎鎮痛薬や漢方薬を使っても構いません。ただし、治るわけではなく、効果も数時間程度です。また、市販の目薬はヘタに使わない方がいい。目ヤニが出たら直接手で触らず、ティッシュで拭き取り、必ず捨てるようにしてください」

 喉が痛いので水分補給を嫌がる場合がある。脱水に十分注意して、水分は定期的に飲ませるようにした方がいいという。食べ物は軟らかく、喉越しのいいものにする。たとえば「ゼリー」「プリン」「冷ややっこ」「そうめん」「冷ましたおかゆ」などがいい。

「翌日には必ず小児科、目の症状が強ければ眼科も受診してください。それは、目の充血の症状は『流行性角結膜炎(はやり目)』と鑑別する必要があるからです。学校保健安全法によって、咽頭結膜熱は症状がなくなった後2日を経過するまで、流行性角膜炎は医師が感染の恐れがないと認めるまで、学校への出席が停止になります」

 また、子供がプールから帰って急に体調を悪くしたら、おぼれて肺に水が入り、肺炎や肺水腫などを起こしている「二次溺水」の可能性もある。3~72時間後に、「発熱」「呼吸困難」「せき」「たん」の症状が強ければ、夜間でも救急車を呼んだ方がいいという。