喉が腫れて痛いだけなら「かぜ」、腫れていないが息苦しいようなら「ぜんそく」が疑われる。しかし、喉が腫れて息苦しい場合は要注意。悪化すると窒息を起こす病気の可能性があるからだ。そのひとつが急性喉頭蓋炎」だ。「喉が腫れて痛い」「ツバをのむと痛い」などの症状が出る。「池袋大谷クリニック」(東京)の大谷義夫院長が言う。
「飲食物が気管に入らないようにフタをする喉頭蓋が、主に細菌感染によって炎症を起こす病気です。市販薬は効きません。数時間で急速に悪化して気道をふさいでしまう恐れがあります」
この病気を疑うポイントは、口の中をのぞいても腫れが見当たらないこと。急速に悪化した場合には、119番通報をして「かつてないほど喉が痛くて窒息しそうな苦しさがある」と伝える。窒息しないように気道を確保するには、イスに姿勢よく座り、下顎を前に突き出し、首を伸ばすようにするといいという。
もうひとつ疑うべきは、アレルギーによる喉の腫れ。原因で多いのは「食物」と「薬剤」。即時型アレルギーなので、飲食後、5~30分で症状が表れるかがポイントだ。
「口の中が腫れぼったい、喉のかゆみや違和感があるという程度の症状であれば軽症ですが、喉の痛みに加えて、息苦しさ、じんましん、吐き気、腹痛、下痢などを伴うようなら『アナフィラキシー』を起こしていると思った方がいい。すぐに救急車を呼ぶべきです」
アナフィラキシーとは、短時間のうちに全身的に強いアレルギー症状が出る反応のこと。
血圧の低下や意識障害を起こす「ショック症状」、気道の腫れによる「窒息」で死に至る恐れがある。
「アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための自己注射薬『エピペン』がなければ、血圧低下を防ぐためあおむけで足を30センチほど上げた姿勢で救急隊員の到着を待ちましょう」
ただし、喉が痛いからといって市販の非ステロイド性消炎鎮痛薬(エヌセイズ)を飲んではいけない。それは軽症のアレルギー反応のときも同じだ。薬剤によるアレルギーをさらに引き起こす可能性がある。
「救急車を待っている間は、水分なども飲まないほうがいいでしょう。喉が腫れているので、無理に飲ませようとすると誤嚥(ごえん)する恐れがあるからです」
受診までの「応急処置」