がん治療で注目の免疫細胞と心不全との“意外な関係”

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「心臓が圧や容量による負荷、酸化ストレスやウイルス感染にさらされると、心筋の損傷治癒のために炎症を起こします。そして、自分の心筋などに対する自己免疫反応が起きて慢性炎症となります。心筋障害が進むと、結果的に血液を全身に送り出すポンプ役として心臓のなかでも最も負荷がかかる左心室が拡張する『左心室リモデリング』が進行し、やがて死に至るとの説があるのです」

 また、細胞のゴミを片付けるオートファジーの異常も原因ではないか、との見方もある。

 いずれにせよ免疫異常が心不全を進行させるとは意外な話だが、心不全症状を起こす拡張型心筋症では抗心筋自己抗体を独自のフィルターでこし取る免疫吸着療法が一時先進医療に取り入れられた。

 しかし、免疫反応には液性免疫の自己抗体だけでなく細胞性のものも関係しているので、効果は不十分であった。

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