役に立つオモシロ医学論文

カロリーオフ食品にダイエット効果はあるのか?

(C)日刊ゲンダイ

 カロリーオフをうたう食品は数多くあります。特にシュガーレスとかノンシュガーといわれるような、砂糖を使用せず、人工甘味料を使った食品や飲料にはダイエット効果が期待できると思われるでしょう。しかし、人工甘味料の長期的なダイエット効果について、これまで明確なことはあまりよく分かっていませんでした。

 そんな中、2017年7月17日付でカナダ内科学会誌に、人工甘味料の摂取とBMIとの関連を検討した研究論文が報告されました。BMIとは[体重(キロ)]÷[身長(メートル)の2乗]で算出される体格指数で、日本肥満学会では18.5以上25未満を普通体重、25以上で肥満と定義しています。

 この研究では、16年1月までに報告された37の研究を統合解析しており、40万人以上の人が解析対象となりました。また、BMIのほか、高血圧や糖尿病など、生活習慣病との関連性も検討されています。

 中央値で10年間の追跡調査の結果、人工甘味料の摂取でBMIは減少するどころか、むしろ増加していることが示されました。さらに、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、糖尿病、心臓病や脳卒中の発症も人工甘味料の摂取で増加する可能性が示されました。

 この結果の解釈を巡りさまざまな意見があるかもしれませんが、人工甘味料を積極的に摂取することで、肥満や生活習慣病の発症率が増えるというよりは、生活習慣病の発症リスクが高い人では、健康により関心が高く、それゆえ人工甘味料の摂取量が高いということかもしれません。

 とはいえ、この研究結果を踏まえれば、たとえ人工甘味料を積極的に摂取したとしても、大きなダイエット効果が期待できるとはいえないでしょう。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。