余命4カ月と言われた私が今も生きているワケ

予防より病気は悪くなってからジタバタするのが正しい

高橋三千綱氏(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病になる前に検査入院でお世話になった東京専売病院(現・国際医療福祉大学三田病院)はたばこが吸えた。今なら考えられないが、おおらかな時代だった。先生は「病院食はマズいから」と自ら言い、私に外食の許可まで与えたものだ。

 その先生と付き合っていた頃は血糖値は安定していたが、先生は他の病院に移られてしまった。後任の主治医とはウマが合わなかった。毎回、数値ばかりを言う人で、「嫌な人だな」と内心思っていた。

 そうこうするうちに重度の糖尿病になってしまった。そこで次は千葉県鴨川市の亀田総合病院に入院してみた。リハビリ中心の病院だが、最初からいい印象を持った。何しろ、夕食にビールが出るのだ。普通、検査の前はいい結果を出そうとして暴飲暴食は控えるものだ。しかし、亀田はそれでは普段通りの結果が出ないということで、夜に酒を注文できるのだ。 

 もちろん、私は糖尿病だから飲むわけにはいかないが、周りには赤ら顔の入院患者がいた。料理自体もちゃんとした献立があって、いわゆる病院食というイメージはみじんもない。

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高橋三千綱

高橋三千綱

1948年1月5日、大阪府豊中市生まれ。サンフランシスコ州立大学英語学科、早稲田大学英文科中退。元東京スポーツ記者。74年、「退屈しのぎ」で群像新人文学賞、78年、「九月の空」で芥川賞受賞。近著に「さすらいの皇帝ペンギン」「ありがとう肝硬変、よろしく糖尿病」「がんを忘れたら、『余命』が延びました!」がある。