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大腸内視鏡検査(水浸法)/新宿内視鏡クリニック(東京都新宿区) 後藤利夫医師

新宿内視鏡クリニックの後藤利夫医師(提供写真)

「腸の痛みは正常な反応ですので、鎮静剤で痛みの感覚を抑えてしまうことは逆にリスクがあります。内視鏡がうまく入っていかずに強く押しても患者さんは痛がりませんから、慣れていない術者が無理に内視鏡を押しすぎると腸が破れる穿孔事故を起こすのです」

■5万件で穿孔事故ゼロ

 水浸法が痛くないのは、水があることで内視鏡のすべりがよくなり、水の浮力で内視鏡の重さが半分になって弱い力で挿入できるから。流しそうめんと同じ原理だという。素早い操作はせずにゆっくり挿入するので、盲腸までの深部挿入時間は簡単な人でも2分以上かかる。

 しかし、挿入困難が少ないので、平均時間は4分半と早い。後藤医師がこれまで行った水浸法は約5万件、穿孔などの事故はゼロという。

「鎮静剤は最初から希望する人もいるので、全く使わないわけではありません。何回か腸の手術をしていて痛がるような人などには使います。それでも最初から希望する人を除き、鎮静剤を併用するのは全体の5%程度です」

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