受診までの「応急処置」

【指を切った】傷口は縫った方がキレイに治る

傷口を水道水で洗ったら、すぐに止血
傷口を水道水で洗ったら、すぐに止血(C)日刊ゲンダイ

 キャンプでナイフを使っていて指を切った。台所で調理中に包丁で指を傷つけた。そんなときどんな処置をすればいいのか。東京警察病院・形成美容外科の澤田彰史医師が言う。

「感染症の原因になる場合があるので、傷口は水道水でいいので流水でしっかり洗浄してください。必ずしも消毒液などの薬を使う必要はありません。きれいに洗ったら、切った指を心臓より高い位置に上げて、傷口にタオルやティッシュなどを当てて手で少し強めに押さえて圧迫止血します。数分間、圧迫していれば出血は止まります。血が止まったら絆創膏を貼っておけば大丈夫です」

 絆創膏は、できれば創傷被覆材タイプのものを使うのがいいという。従来の絆創膏は傷口を乾かして治りを待つタイプだが、創傷被覆材は傷口を覆って傷口から出る滲出液を保持して湿った状態にする。「湿潤療法」と呼び、その方が傷の治りが早いことが分かっている。

 では、どの程度、深く切ったら受診して縫った方がいいのか。

「傷口がパックリ開いているようなら縫った方がいいでしょう。縫わなくても治りますが、傷口が開いていると治った後の傷痕が太く残ります。深い切り傷は縫った方がより早く、よりきれいに治ります。ですから顔の深い傷の場合は、美容面からもできるだけ縫った方がいい」

 では、傷口を縫うとしたらどれくらいまでに受診した方がいいのか。時間の経過と治りの具合は関係するのか。

「切ってから48時間以内ぐらいに縫った方がいい。縫わない場合には、傷口が細菌を外に排出しながら治っていきますが、長時間が経過した傷を縫う場合は、どんなに洗浄をしても多少の細菌が中に閉じ込められることになり、それによって膿む可能性があります。そうなると、治った後の傷痕もきれいでなくなる場合があります」

 何かの拍子に指を切断した場合には、どうすればいいのか。止血は切ったときと同じで、指を心臓より高く上げ、タオルなどで圧迫。そう簡単に血は止まらないので、切り落とした指と一緒に急いで受診する。

「切れた指は、水に濡れ過ぎても、乾燥させすぎてもダメです。汚れていたら水で軽く洗って、拭いたらビニール袋に入れ、氷の入ったクーラーボックスに保管して数時間以内に受診してください」

 診療科は「形成外科」か「手の外科」。完全に元通りにするのは難しいが、指をつなげる手術を行う。