決算書でわかる有名病院のフトコロ事情

都立駒込病院の医療費 1日当たりは放射線診療科が12万円でトップ

駒込病院の医療費(2013年度)
駒込病院の医療費(2013年度)/(C)日刊ゲンダイ

 今回は都立駒込病院に注目してみましょう。山手線の駒込駅から徒歩15分ほど、ベッド数801床、職員1000人以上(医師160人)を擁する大病院。がん医療に比重を置いており、実質的には「都立がんセンター」の役割を担っています。

 国立がん研究センターが公開している「院内がん登録(2014年)」によれば、この年に駒込病院で登録されたがん患者は4363人。がん研究会有明病院(7253人)、国立がん研究センター中央病院(5782人)に次いで、都内3位につけており、全国的に見ても屈指の実績を誇っています。とくに食道・胃・大腸などの消化器がんに強く、また白血病の患者数で都内1位となっています。

 それだけでなく、感染症センターの役割も担っています。とくにエイズ治療に実績があり、エイズ診療中核拠点病院の指定を受けています。2015年の累積患者数は約2600人、定期通院患者数は約1200人となっています。

■外科手術の平均は5万9000円

 そんな駒込病院のホームページには、診療科別の入院患者・外来患者の1人1日当たりの単価(医業収入・2013年度)が載っています。治療前に医療費を大ざっぱに見積もる参考になるので、主なものを<表>にまとめました。

 まず入院ですが、1日当たりの医療費は放射線診療科が最も高く、約12万円。次いで眼科(約8万6000円)、形成再建外科(約7万円)、脳神経外科(約6万3000円)の順。形成再建外科は、がん手術後の乳房・顔面・四肢などの再建術を行っています。外科は意外と安くて、約5万9000円です。もちろんあくまでも平均の話です。手術の内容によって変わってきますし、術後しばらくICU(集中治療室)に入るかどうかでも変わってきます。内視鏡手術で済めばかなり安く済みますし、開胸手術や開腹手術になれば、数日間はICUに入ることになり、それだけ金額もかさみます。

 外来では感染症科が飛び抜けて高額になっています。エイズ患者が多いためでしょう。その他の科目は3万円以下で収まっています。

 ただし、患者本人の負担は、現役世代ならこの3割、後期高齢者(75歳以上)なら1割です。しかも高額療養費制度が使えるため、月額最大で8万数千円(後期高齢者は4万数千円)で済みます。