私は、すでに外科医から説明されていることでもあり、またYさんのお気持ちも聞いたことから、膵臓がんであったこと、手術ではがんが取れなかったこと、これからは抗がん剤治療を勧めることをお話ししました。もし抗がん剤治療に同意されるなら入院中に開始して、副作用が大丈夫ならその後は外来治療としたいこともお伝えしました。
患者さんにとっては厳しい内容でしたので、Yさんの表情を見ながらゆっくりと話したつもりでした。
「何か質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
「明日の午後にまた来ます。その時、またどうぞ、遠慮なく質問して下さい。一緒に頑張っていきましょう」
「よろしくお願いします」
そのような会話を交わし、その日は1時間ほどの説明で終わりました。Yさんはアナウンサー時代の野球実況の話をされたりして、私は度胸の据わった、しっかりした方だという印象を受けたことを覚えています。
がんと向き合い生きていく