私は、もう2~3日、術後の譫妄が表れないかどうかを見極めてから説明すべきだったと反省しました。
精神科医の処方もあり、幸いYさんは数日で病状は好転しました。10日後に再度、病気の説明をしましたが、Yさんは前回と同様に納得され、治療を受けられることになりました。
それにしても、Yさんにとっては「がんは手が付けられない状態だった」と告げられたことは、どう考えても大変なショックだったのは間違いありません。
精神科医は手術後の譫妄だと言いますが、前日の私の話の影響がなかったとは言い切れないと思うのです。
その後、淡々と治療を受けられるYさんに、私は「つらい時は遠慮なくつらいと言っていただいて構いませんよ」と繰り返しました。Yさんは説明に一つ一つ納得され、奥さんを怒ることもなく、感謝しながら、最期までYさんらしく生きられたように思います。
たとえ気丈に見えても、患者さんが受けるショックは計り知れない。私の苦い経験です。
がんと向き合い生きていく