高齢者の「てんかん」は医師も本人も周囲も気づかない

働き盛りで発症することも(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 脳波モニターでは明らかな脳波異常が見られるが、患者の様子は脳波が正常な時と一見変わらない。久保田医師が指さしたのは、足でトントントンとリズムを取るような動き。また、ほかの患者の映像では、イライラしている様子、横になってテレビを見ている様子が映し出された。いずれも、高齢者のてんかんによる症状だという。

 突然倒れたりすれば慌てて救急車を呼ぶだろうが、地味な症状ゆえに、同居している家族でも気づかない。

「この時たまたま話しかけたりすれば、『なにか変だ』と感じるかもしれません。目が一点を見つめたままで、ボーッとして反応がないからです。1~2分すると普段通りの様子に戻り、本人は何も覚えていません」

■50代から発症率が上昇

 高齢者のてんかんは、MRIやCTなどの画像検査ではわからない。症状を本人は覚えていないので、自ら病院に行こうともしない。診断・治療のきっかけに結びつくのが、家族や周囲にいる人、介護者などが感じる「なにか変」だが、高齢者のてんかんに対する知識を持っていなければ、「年のせい」「認知症の表れ」などと思うだろう。

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