受診までの「応急処置」

トゲが刺さったら…5円玉を押し当てると抜きやすくなる

一度刺さってしまうと、意外と抜けない
一度刺さってしまうと、意外と抜けない(C)日刊ゲンダイ

 細かい木片や竹片、サボテンなどのトゲ。昔はよく「抜かないで放っておくと、血管から入って心臓に刺さる」なんて言われたものだが、そんなことはまずない。では、どうすればいいか。東京警察病院・形成美容外科の澤田彰史医師が言う。

「細かいトゲが刺さった場合、慌てて爪で取ろうとすると、かえって押し込んでしまいます。トゲを抜くときは『毛抜き』や『ピンセット』を使いましょう。トゲが皮膚の外に大きく出ていれば、『ガムテープ』などを貼って刺さった方向と同じ角度ではがせば抜ける場合もあります」

 しかし、皮膚から出ているトゲの部分が少なく、毛抜きやピンセットで挟みにくい。そんなときは5円や50円の硬貨を使うといいという。硬貨の穴の開いた部分をトゲの中央に置き、押し当てる。肉と一緒にトゲも盛り上がって出てくるので、挟みやすくなる。

「トゲが抜けたら水道水でいいので、流水で洗浄してください。その後は、必ずしも消毒液などの薬を塗る必要はありません。ばんそうこうを貼っておけば、たいがい1~2日内に自然と治ります」

 トゲを抜いた後に、指であれば口に含んだり、血を吸いだしたりする人も多いはず。しかし、口の中や唾液には細菌が多く含まれる。細菌感染の原因になるのでやらない方がいいという。

■民間療法には細菌感染リスクが

 インターネットなどでは、「梅干し」「はちみつ」「ネギ」「ニラ」などを塗ると、トゲが抜きやすくなるという応急処置が紹介されている。だが、これらの民間療法も細菌感染の原因になるのでやめておこう。

「細かいトゲが取れずに残っても、植物性(有機物)のトゲであれば皮膚組織に吸収されるので問題はありません。痛みが続いたり、腫れたりしたら皮膚科や形成外科を受診してください。金属片のトゲは吸収されないので、場合によっては切開が必要になります」

 ある程度大きな木や竹の破片、古クギなどがささった場合には、抜いた後に水で洗浄、タオルやハンカチで傷口を圧迫して止血処置をする。そして、早く受診しよう。

「刺さった木片や古クギなどの先に土が付着していると、破傷風に感染する恐れがあります。傷口の奥を洗浄・消毒して、抗生物質の内服とワクチン接種をした方がいい。それに深く刺さっていれば、骨や腱、神経などに異常がないか調べる必要があります」