酷使や加齢で声帯が変化 しわがれた声は「注射」で若返る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 健康長寿というと自由に動ける体のイメージがあるが、声のことを忘れていないだろうか? いくら体が若々しく見えても声がしわがれ、年寄りじみていては魅力は半減する。実際、男女とも異性に好感を持つ要素として声を挙げる人は多い。そもそも声が聞き取りにくければ会話は成立しないし、仕事もやりづらい。本人もそれを気にして引っ込み思案になりがちだ。これまでは治療法のなかった症状だが、いまでは注射で声は若返らせるという。世界で初めてこの治療法を開発した、京都府立医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科の平野滋主任教授に聞いた。

「高齢者の声は“弱くかすれた声”だといわれます。加齢で音量が低下し、スースーと息もれする声(気息性嗄声)も多い。音域が狭くなり、『高い声や大きい声が出ない』『声を出すと疲れる』と訴えるお年寄りもたくさんいます」

 声は呼気により声帯を振動させることで発生する。それには十分な肺活量、正常な声帯、それに口腔、咽頭、鼻腔による共鳴が必要となる。そのひとつでも欠けると声が変わってしまうが、加齢により最も変化するのが声帯だ。

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