酷使や加齢で声帯が変化 しわがれた声は「注射」で若返る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「声帯とは喉頭の中にあって、左右一対のヒダの形をした粘膜を指します。声帯の間の空間を声門といいます。声を出すときは普段は開いている声門が閉じ、その間を空気が通る際、声帯が振動運動することによって音が出るのです」

 声帯の表面は粘膜上皮に覆われていて、1秒間に男性で100回、女性で200回、歌手では600~800回程度振動する。

「年を取ると、粘膜が硬くなり、振動が弱くなって、声が出にくくなったり、かすれ声になるのです。加齢で声帯がやせたことで声門が開きっぱなしになり、気息性嗄声になる人もいます」

 ではなぜ、声帯粘膜は硬くなってしまうのか?

「人の声帯粘膜は上皮と声帯筋の間に3層の粘膜固有層があります。その表層はヒアルロン酸が多く、中間層は弾性線維が豊富です。深層にはコラーゲンが多く含まれています。こうした構造は声帯粘膜に多数存在する線維芽細胞の産出物で支えられています。加齢などによりその機能が衰えたり線維芽細胞が死滅することで、コラーゲンがムダに蓄積されて声帯粘膜が肥厚し、ヒアルロン酸が減少します。そのことで声帯粘膜が硬く、振動しづらくなっていくのです」

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