決算書でわかる有名病院のフトコロ事情

三井記念病院の本業収益 眼科と循環器が強い?

差額ベッド代と健康診断も経営の柱となっている(C)日刊ゲンダイ

■差額ベッド代と健康診断も柱に

(社)日本病院会などの調査によれば、400床以下の一般病院の医業収入の平均は、100床当たり1億9700万円/月。三井記念病院のベッド数に当てはめると、年間約114億円となります。しかし実際にはその1.7倍近い金額を売り上げており、収益力の高さが光ります。特に眼科と循環器科が評判で、周辺地域のなかで高いシェアを占めています。

 入院と外来の収益比率は、普通は2対1程度ですが、三井記念病院は外来比率がやや高くなっています。場所がいいので、秋葉原周辺のサラリーマンなどが多く集まってくるのでしょう。

 差額ベッド代は3000~8万円と幅があります。それぞれの価格帯が何室あるかは明示されていません。ただ決算書には「室料差額収入」として9.1億円が計上されています。同規模病院の平均は1.4億円に満たないので、差額ベッドでかなり儲けているといってよさそうです。また、保健予防活動(健診・人間ドックなど)で8.6億円(同規模病院の平均は8400万円)を計上しており、こちらも有力な収入源になっています。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。