Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

治療の仕事の両立<3> 治療法に迷ったら放射線医に聞く

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 精神科病院の自殺率は8割に上りましたが、一般病院でも、特にがん患者の自殺は無視できないことが明らかになったのです。自殺の直前には、痛みや呼吸困難が増したり、精神状態が乱れたりしていて、症状の悪化に伴う精神状態の乱れが見られたといいます。

 がん患者は、3割が64歳以下の現役世代。そうすると、看病する人も現役世代が多く、共働きだと、看病も大変です。それで入院中の患者はひとりになって、症状が悪化したときなどに気持ちが沈みやすく……。

■なるべく入院せず

 自殺を防ぐ上で、患者を孤立させないように治療と仕事の両立を考えることはとても大切です。その点、放射線は通院治療が基本ですから、入院して孤立するリスクは少ない。それでいて、頭頚部、食道、肺、乳腺、前立腺、子宮頚部など多くのがんで、治療成績は手術と同等です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。