気鋭の医師 注目の医療

救急医療の現場に新風を吹き込んだ草分け的存在

川越救急クリニックの上原淳院長(C)日刊ゲンダイ

「私たちが求められているのは、緊急度を判断して必要であれば、すぐ入院治療の設備が整っている2次救急や3次救急の施設へ送ることです。実際、救急搬送を含めて当院に来る患者さんの9割は薬の処方などで対応できる軽症です」

■当初は“変わり者”とされるも…

 一方で、大病院の見落としを救うこともある。隣の市の10歳男児が柔道大会に出場し、背中を強打。帰宅しても痛いので近くの大学病院を受診したが、診断は打撲。しかし、夜中になっても痛みは引かず、たまらず同院を受診。CTとエコーで調べたところ脾臓の損傷が判明。埼玉医科大総合医療センターに送り、緊急手術した。放置していたら死亡していたかもしれないケースだ。

 当初は“変わり者”とされた上原院長だが、いまでは全国から「私も救急クリニックを始めたい」という熱血医師の問い合わせや見学が多い。自分が苦労をした経験から2年前に「NPO法人日本救急クリニック協会」を設立。開院や運営のノウハウなどを共有できるようにサポートしている。

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