数字が語る医療の真実

かっけ克服の転機になった島薗順次郎のあいまいデータ

 さらに鈴木梅太郎が精製抽出した抗かっけ物質「アルコホル」エキス、「オリザニン」の注射を最重症のかっけ患者10人に服用、あるいは注射したところ、7人が改善し治癒に向かいます。ただし3人には効果がないという結果でした。

 そのため島薗の論文の結論は「脚氣ニ對シテ『ヴィタミン』ガ效力アリヤ否ヤノ重大問題ヲ解決スルニハ、其例尚少數ナルヲ以テ此ニハ未ダ論決スルニ至ラズ、更ニ經驗ヲ重子ントス」というあいまいなものになってしまいました。

 しかし反対派の中心にあり、巨大な権力をふるっていた青山の死後、こうした無視された明確なデータと比べるとあいまいなデータがかっけ克服の転機になっていくのです。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。