事故相次ぐ「無痛分娩」は何が問題か 麻酔専門家に聞いた

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 無痛分娩は一般的に「硬膜外麻酔」で行われる。刺した針を通して管を硬膜外腔に入れ、管だけを残して針を抜き、管から麻酔薬を注入する方法だ。この時、管が間違った場所に刺さると死に至ることがある。

「そうならないように、少量の麻酔薬でテストを行い、管の位置を確認します。間違った場所であれば足のしびれや動かないなどの症状が出るので、異変を見逃さない。不適切な場所に刺さっている恐れがあれば、すぐに管を抜きます」

 15年に無痛分娩で出産し、その後意識を失い今年5月に亡くなった女性は、麻酔直後、足に力が入らなくなり異変を訴えていた。しかし医師は外来診察でその場にいなかったため、一気に状態が悪化。医師が異変に速やかに対応していたら、全く違う展開になっていたかもしれない。

■無痛分娩にガイドラインはなし

 硬膜外麻酔は全身麻酔と違い、麻酔科医以外でも行える。だから麻酔科医を置いていない産科は珍しくないが、急変に対応するには麻酔科医がいることが理想だ。

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