初の診断キット発売 「潰瘍性大腸炎」治療の何が変わる?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 やはり、患者の負担軽減につながる。

 潰瘍性大腸炎の診断・治療の変化はそれだけじゃない。前述の通り6~7割が「5―ASA製剤」で寛解を維持できる潰瘍性大腸炎だが、効かない場合、ステロイド、免疫調整薬、抗TNF―α抗体と効能の強い薬を使う。

 いずれも十分に効かなければ、手術で大腸を全て取り除く。

「抗TNF―α抗体が登場して以来、難治例でも薬で寛解を維持できるようになり、手術まで進む患者は減っているとの海外の報告があります。私の患者さんにも、薬の効きが悪く、何十年も苦しみ手術を検討していたのに、抗TNF―α抗体で劇的に良くなり手術を回避できた方もいます」

 抗TNF―α抗体は高額な薬のため、現在臨床研究では「炎症が完全に消えた後に薬を止めることが可能か?」についても検討されている。

 また、抗TNF―α抗体の効き目が不十分な患者には、違う作用機序の新薬がこの1~2年で数種類出る見込みだ。

「潰瘍性大腸炎の治療の選択肢は増えています。難病ではありますが、決して悲観する疾患ではありません。どうぞ主治医の先生とよく相談して下さい」

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