受診までの「応急処置」

【目の奥が痛い】あおむけに寝て下手に目を触らない

まずは脳卒中との鑑別
まずは脳卒中との鑑別(C)日刊ゲンダイ

 目の奥の痛みは「疲れ目」でも起こるが、激しければ「急性緑内障発作」の可能性がある。通常の緑内障(慢性型)では、ゆっくり進行していくので自覚症状がほとんどない。ところが急性緑内障は、突然眼圧が急上昇して目に強い痛みが出る。「おはらざわ眼科」(東京都北区)の小原澤英彰院長が言う。

「急性緑内障発作を疑うポイントは、頭痛、吐き気、充血、視力低下を伴うことです。ほとんどが片側性で、発症した目の瞳孔が反対側の目より開いています。眼圧が上昇しているので、目に触れると硬くなっています」

 年をとった遠視気味の人に起こりやすい。夜間に発症しやすく、目の奥の痛みが強く、頭痛があるので、たいがいの人は脳卒中を疑って救急車を呼ぶことが多いという。それで病院で頭部CTを撮って脳に異常がないことで発覚することがよくあるという。

「夜間に起こりやすいのは、暗がりで瞳孔が開きやすいからです。瞳孔が開くと、目の中を循環している『房水』という液体の流れをふさぎやすくなる。緑内障の原因は房水の排出路の障害です」

 市販薬には眼圧を下げる目薬はなく、頭痛薬を飲んでも症状は改善しない。目を温めたり、冷やしたりしても病態が良くなることはない。眼圧が高い状態が長く続くと、視神経が障害されてしまう。発症から48時間以内に治療をしないと失明する危険性があるという。

「いずれにしても脳卒中など他の病気との鑑別を早くする必要があります。受診するまでや救急車が到着するまでは、ヘタに目を触らない方がいい。目を押したり、マッサージをしたりすると、眼圧をさらに上昇させてしまう恐れがあります。救急車を待つ間は、頭をうつぶせにするような格好は房水の流れを悪くさせるので避けた方がいい。あおむけに寝て、目を閉じて安静にしていてください」

 目の奥の痛みがそれほど強くなく、頭痛や吐き気などの症状を伴わない。加えて、目を蒸しタオルなどで温めると気持ちよく、症状が軽くなるようなら「疲れ目」の可能性が高い。市販のビタミンB配合の目薬をつけて、お風呂で湯船につかって首や肩のコリをほぐすといいという。

「疲れ目の症状が翌日も改善せず、何日も続くようなら『眼精疲労』の可能性があります。特にメガネやコンタクトを使用している人は合っていないことが多いので、眼科に相談してください」