夜中のトイレを減らす4つの対策 作業療法士がアドバイス

ぐっすり眠りたい(写真はイメージ)
ぐっすり眠りたい(写真はイメージ)(C)日刊ゲンダイ

 夜中に何度も目覚めてトイレに立つ。そのせいで眠れなくなって睡眠不足に……。そんな悩みを抱えている中高年は多い。中には前立腺に問題を抱えているケースもあるが、多くは改善できる対策法があるという。全国で睡眠セミナーを開催している作業療法士の菅原洋平氏に詳しく聞いた。

「夜中のトイレには自律神経の働きが大きく関係しています。本来、睡眠中はリラックス状態で活発になる副交感神経が優位になり、活動時や緊張状態で優位になる交感神経は鎮まります。しかし、気温の変化など睡眠環境の影響で睡眠中も交感神経が活発なままだと、尿を作っている腎臓の働きも活発になり、頻繁にトイレに行きたくなって目覚めてしまうのです」

 つまり、就寝中は副交感神経が優位になるように自律神経のバランスを回復させれば、夜中のトイレを抑えることができる。秋から冬にかけては、ただでさえ夜間に交感神経の活動が高まる。就寝前に、副交感神経が優位に切り替わる働きをサポートしてあげる対策を講じよう。

①就寝前に「仙骨」を温める

 仙骨は骨盤の後ろの真ん中にある骨で、副交感神経が集まっている。仙骨が冷えると交感神経が活発になり、尿がたくさん作られてしまう。

「就寝30分ほど前に、ホットパックや湯たんぽを腰の下付近に当てて仙骨を温めると、副交感神経が優位になってきます。眠くなったらベッドに入るようにしてください。ただし、熟睡するためには深部体温を下げなければならないので、仙骨を温め続けるのはNGです。ずっと温かいままの電気カイロではなく、30分程度で冷めるもので温めるのがポイントです」

②夜中にトイレで目覚めても時計を見て時刻を確認しない

「脳は、起床する3時間前からコルチゾールというホルモンを分泌し始めます。コルチゾールが分泌され続けると交感神経が活発になり、脳や体が覚醒するのです。夜中にトイレで目覚めたときに時計を見て、〈3時に起きてしまった〉と確認する行動を繰り返すと、脳には〈3時に起床してトイレに行く〉というプログラムが組まれ、日頃からその時刻に合わせてコルチゾールの分泌を開始します。そうなると、覚醒のリズムがずれて夜中のトイレで眠れなくなってしまうのです」

 トイレに時計がある人はすぐに撤去したほうがいい。

③ひざ下に冷水と温水を交互に浴びる

 夜、風呂から上がるタイミングで、ひざから下に水→お湯の順で交互に3回ずつかける。

「冷水を浴びると血管が収縮して血圧が上がり、温水を浴びると血管が広がって血圧が下がります。自律神経は血圧の調整も行っていて、交感神経は血圧を上げ、副交感神経は血圧を下げる働きがあります。冷水と温水を交互にかけることで、外部からその切り替えをサポートしてあげると、就寝時はスムーズに副交感神経が活発になっていきます」

④就寝前に足を上げる

 自律神経の働きとは離れるが、夜間の尿量を減らす対策になる。

 夜中に何度もトイレに行きたくなる人は、下半身に水分が多くたまっているケースがある。人間の体は約70%が水分で構成されている。立ち姿勢で過ごす昼間は、重力によって押された水分が足元にたまる。その状態のまま横になって眠ると、たまった水分が徐々に上半身に移動し、利尿ホルモンの分泌が誘発されてトイレに行きたくなるのだ。

「ベッドに入る前、テレビを見ながら寝転がっているときなどに、両足を腰より高い位置に上げた状態を10分ほど続けてください。ソファやイスなどに足をかけてもいい。それだけで、足元にたまった水分が上半身に戻ります。あとはベッドに入る前にトイレに行ってしっかり排尿しておけば、夜中の尿量を減らすことができます」

 副交感神経が優位になるようにサポートしつつ、たまった水分をきちんと排出しておけば、夜中のトイレが減ってぐっすり眠れるようになる。

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