決算書でわかる有名病院のフトコロ事情

私立医科大学の全収入に占める学生納付金の比率は数%

附属病院こそ収益の柱(左は東京慈恵会医科大学の大学1号館)/(C)日刊ゲンダイ

 埼玉医大を除けば医学部と看護学部(ないし看護専門学校)だけなので、学生数はたかだか千数百人に過ぎません。埼玉医大は臨床検査・医用生体工・理学療法の各学科を持っているため、約2500人の学生を抱えています。

■付属病院こそ収益の柱

 各大学とも、全収入に占める学生納付金の比率は、かなり低くなっています。慈恵医大はたった3%ですし、埼玉医大でも7%にとどまっています。医科大学にとって学生納付金は微々たるもの。付属病院こそ収益の柱であって、極論すれば学生納付金を取らなくても困らないのです。

 実際、私立の医学部の学費は、最近かなり値下がりしてきています。10年ほど前までは6年間で4000万~5000万円台が普通で、6000万円を超える大学もありました。ところが2008年に順天堂大学が値下げを行って以来、相場は2000万~3000万円台に下がってきています。しかも学費免除枠も拡大しているのです。

2 / 3 ページ

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。