がんと向き合い生きていく

がんに加え「エイズの疑い」も告知され空気が凍りついた

都立駒込病院の佐々木常雄名誉院長(C)日刊ゲンダイ

■本来は本人に意思を尊重

 ここでは、A担当医がDさん本人の了解なしに、家族の前で「エイズの疑い」と言ってしまったことに大きな問題があります。

 がんの告知は時代により異なります。1985年ごろまでは、患者本人にはがんという病名すら告知しませんでした。その後、2000年ごろまではがんの病名だけは告知しても、「予後」や「死」については話さない時代がありました。さらに2000年以降は「治らない短い命」まで告げる場面に出会うようになりました。

 また、かつては患者本人に告知する前に、ご家族に「本人にはどう話すか?」と相談するようなこともありましたが、2005年の個人情報保護法で、法的には「まず、がんであることを本人に話す。家族に話すとすれば本人の了解が必要」となったのです。

 いま、医師によっては本人を前にして「あと3カ月の命です。もう治療法はありません」などと告げている場面があると聞きます。そう告げられた患者さんはその後どう生きていけるのか、とても心配です。

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佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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