一方、エイズは1980年代に明らかになった感染症ですが、当時から一般的には担当医からエイズであることを患者本人に告知します。しかし家族に対しては、「本人から伝えるかどうか」本人の意見が尊重されます。通常、本人を無視して家族に告げることはないようです。患者さんによっては、「自分が死んだ後でも、家族にはエイズとは言わないでくれ」と話される方もいらっしゃいます。個人情報保護は、たとえ本人が亡くなった後でも続くのです。
がんでもエイズでも、告知にはたくさんの問題があります。それでも、現代はまず患者本人に告知されることに変わりはありません。
Dさんの悪性リンパ腫は、治療で消失して5年経過し、治癒しました。エイズは内服薬でコントロールされていて発症が抑えられています。息子さん、娘さんはすでに独立し、Dさんは奥さんと2人暮らしを続けています。
がんと向き合い生きていく