モノ忘れ脱出 完全マニュアル

<2>脳の老化を遅らせる ワーキングメモリー維持への7カ条

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「物忘れをなくしたい」と言う人にその理由を聞くと、結局は「脳の老化を遅らせたい」ということにつながります。私が勧めたいことのひとつがワーキングメモリーの機能維持の7カ条です。

 ワーキングメモリーは、日常生活の中で意識することなく使っている記憶の機能です。創造性のある思考をする時にも使われます。さらには、複数の物事を同時進行する時にも重要になります。ワーキングメモリーは努力しなければ確実に加齢とともに低下していきますが、「7カ条」によって維持できます。

①新聞記事を読んだ後、印象に残った単語を4つ挙げる

 ポイントは「読みながら言葉を記憶していく」という同時処理。読み終わってから、あらためて印象に残った単語を探すやり方では効果がありません。

②電車の中吊り広告を見て、書かれている文章の単語を思い出す

 中吊り広告を見て内容を理解し、目を離して単語を思い出します。

③会話をする時、相手の話を記憶するように聞く

 相手の話に集中し、キーワードとなる単語を覚えましょう。

④カラオケで新曲を覚え歌詞を見ないで歌う

 いつも歌詞を見て歌っていれば、何度歌ってもワーキングメモリーの鍛錬になりません。新曲に挑戦すれば、それ自体が脳への刺激に。さらに歌詞を覚えようとすれば、ワーキングメモリーの維持にもなるのです。

⑤文章を読む時、頭の中でイメージをつくりだす

 文字を追うだけではなく、文章を読み、イメージを広げる習慣を身に付けましょう。

⑥3つの要素を記憶

 一日に見聞きしたことのうち、印象深いことを3つに分けて記憶する。すべての出来事を記憶するのは困難ですが、3つの要素ならちょうどいいワーキングメモリーの鍛錬になります。

⑦楽しく記憶する

 それによってドーパミンが放出され、脳が元気になります。

 次回は、ストレスと脳の関係についてお話ししましょう。

米山公啓

米山公啓

作家、医学博士。専門は神経内科。脳に関する著書多数。

関連記事