受診までの「応急処置」

【耳鳴り】耳は塞がずリラックスできる音楽を流す

音源なき騒音を撃退せよ(写真はイメージ)
音源なき騒音を撃退せよ(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

「キーン」「ゴー」など、外で音がしていないのに音が聞こえる「耳鳴り」。耳のそばで大きな音がして起こる(急性音響外傷)なら分かるが、思い当たる原因がないのに、急に耳鳴りがして治まらない。しかも、夜間に起きたとなると不安がつのる。救急車を呼ぶべきなのか。「耳鼻咽喉科・日本橋大河原クリニック」(東京)の大河原大次院長が言う。

「突然、何のきっかけもなく片側の耳に起きたとしたら、『突発性難聴』や『メニエール病』などの内耳の病気が疑われます。加えて“めまい”を伴うようなら、その可能性が高いでしょう。しかし、あわてたり、怖がったりするのはよくありません。過度のストレスがあると悪化させてしまうからです。夜間ならひと晩様子を見て、翌日も続いていたり、繰り返すようなら必ず受診してください」
 残念ながら家庭でできる耳鳴りを止める効果的な対処法はない。耳鳴りは、基本的に聞こえが悪い“難聴”があって起こる症状。音がするからと耳栓などで耳穴を塞ぐのは逆効果で、かえって耳鳴りが強くなる。それに突発性難聴やメニエール病が原因の場合、受診してステロイド薬や血流改善薬、ビタミン剤、神経賦活剤などを組み合わせて治療しても改善するまで少し時間がかかる。しかも程度はよくなっても耳鳴りや難聴が残るケースは少なくない。

■入浴するのもいい

「耳鳴りを引き起こす内耳の病気の発症には、過労やストレスが大きく関係していると考えられています。とりあえず受診まで家庭でできることといったら、とにかくリラックスできる状態でいることです。心身の緊張をほぐしたり、血流をよくしたりする効果でいえば、お風呂の湯船につかってゆっくりするのもいいでしょう」

 耳鳴りは、いったん気にし始めると、余計に気になる。それがストレスとなってさらに耳鳴りが強く感じる悪循環を起こす。「気にするな」といっても難しいが、極力耳鳴りにとらわれない心構えが大切になるという。夜、耳鳴りが気になって眠れないようなら、自分でリラックスできる環境音楽などのBGMをかけて耳鳴りの音をまぎらわすのもひとつの手だ。

「耳鳴りに慣れたからと受診が遅れるのもよくありません。10日から2週間も放置すると内耳の神経が変性して、治療しても回復が難しくなります。市販薬やサプリメントを試しても、病気が原因の耳鳴りには効きません。治療のタイミングを逃すので注意してください」

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