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健康的な睡眠時間とはどれくらいなの?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 このことについては多くの議論があります。寝過ぎも寝不足も体にあまり良い影響を与えないように思います。睡眠時間と健康への影響に関して、過去にも多くの研究報告がありますが、その結果にはあまり一貫性がないようです。

 そんな中、睡眠時間と死亡リスク、心臓病発症リスクなどの関連を検討した研究論文が米国心臓協会誌(2017年9月9日付)に掲載されました。この研究は、2016年12月1日までに報告された睡眠時間と死亡リスクや心臓病発症リスクの関連を検討している複数の観察研究を統合解析(メタ分析)したものです。67研究に参加した350万人以上が解析対象となりました。

 その結果、睡眠時間と死亡リスク、心臓病発症リスク、脳卒中発症リスクには「U字型」の関連が示されました。つまり7時間睡眠が最もリスクが低く、そこから睡眠時間が長くなっても短くなってもリスクが増加するという結果で、横軸に睡眠時間、縦軸に発症リスクを取ると、ちょうどU字のカーブを描くというものです。

 死亡リスクについては、睡眠時間が7時間から1時間減るごとに6%増加、1時間増えるごとに13%増加しました。

 心臓病についても同様に、睡眠時間が7時間から1時間減るごとに7%増加、1時間増えるごとに5%増加しています。

 脳卒中も同様に、睡眠時間が7時間から1時間減るごとに5%増加、1時間増えるごとに18%増加するという結果になっています。

 やはり、寝過ぎも寝不足も体に良くないということが示されていて、この研究では「おおむね7時間睡眠が健康に良いかもしれない」という結果が示されています。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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